和解学の創成

  • 1872年東京 日本橋

  • 1933年東京 日本橋

  • 1946年東京 日本橋

  • 2017年東京 日本橋

  • 1872年8月〜10月北京 前門

  • 現在北京 前門

  • 1949年前後北京 前門

  • 1930年代北京 前門

  • 1895年台北 衡陽路

  • 1930年代台北 衡陽路

  • 1960年代台北 衡陽路

  • 現在台北 衡陽路

  • 1904年ソウル 南大門

  • 2006年ソウル 南大門

  • 1950年ソウル 南大門

  • 1940年代初ソウル 南大門

研究分担者の中山大将氏が寄稿している『響き合う東アジア史』(東京大学出版会)は刊行されました

【三谷博、張翔、朴薫編『響き合う東アジア史』東京大学出版会、2019年8月28日】

2013年から2015年にかけて毎年夏に東アジア若手歴史家セミナーが開催されました。本書は、その一連のセミナーに参加した日韓中の若手歴史家たちの報告の中から18報告を選び出し、その報告論文を掲載したものです。​

研究対象時代は古代から現代にまでおよび、なおかつ必ずしもすべての論文が、国際問題化している歴史問題を扱っているわけではありませんが、刊行の段階で40歳前後の者が多数を占めるこれら執筆者らの歴史叙述の方法やそこから見えてくる歴史学への姿勢など、メタ・レベルで今後の東アジアの歴史研究の流れを把握するための参考とできるはずです。​

なお、本「和解学の創成」プロジェクト参加者としては、中山大将(釧路公立大学)が執筆者に名を連ねており「帝国解体の後:旧樺太住民の複数の戦後」を寄稿しております。​

中山の直前の章は、黄善翌(韓国国民大学校)「東アジアの戦後処理:韓人帰還問題を中心に(一九四五―四六年)」(辻大和訳)であり、中山の章は、さらに対象期間を大幅に長くし、外交レベルだけではなく残留者個々人のミクロレベルまで視野にいれ、さらに韓人だけではなく日本人まで視野に入れることで、境界地域から東アジア史を観るという方法を提示しており、書題通り「響き合う東アジア史」が実現しております。​

この二章だけでも、様々な視点から歴史を研究し論じることの意義と可能性の一端を知ることができるのではないでしょうか。こうした成功は個々の研究者の才覚というよりも、編者の力量に帰するべきことでしょう。​

たとえわずか18名分に過ぎないとしても、現在の日韓中の40歳前後の歴史研究者たちの可能性を知ろうとする者にとって本書はきわめて有意義な一書となるはずです。​

出版社(東京大学出版会)のWebサイト:http://www.utp.or.jp/book/b454593.html